PROJECT CONCEPT

決まりのない無駄な空間で手に入れる“自由”

無駄を排除された効率的で標準的な”住まい”。
コロナ禍によって、そんな住まいに対し、”窮屈さ”や”歯がゆさ”を感じた人もいるのではないでしょうか。
・自宅に快適なワークスペースがほしい。
・趣味のアウトドアグッズをすっきり整理整頓できる大容量の収納空間がほしい。
・通勤で使う自転車のメンテナンス空間がほしい。 など

多様性の時代、住空間には”柔軟性”が求められています。
決して新しい別の“標準的”な住空間を導き出すのではなく、
多様性に開かれた”これからの住宅のあり方”について考えました。
この取り組みは、限られた面積の中で、誰もが仕事や趣味にも没頭できる息苦しくないマンション住戸を実現するための提案です。

PROJECT STORY

可能性が広がる無駄空間 無駄かもしれない空間が”自分らしさ”を支える

必要最小限に目的ある部屋だけで構成された住空間では、融通が利かず窮屈さを感じてしまいます。これからの住空間は、より多様性を受け入れるための柔軟性が求められています。そのため、言ってみれば「無駄かもしれないスペースの充実」こそが必要であると考えました。
この空間は、人によってはアウトドアギアや自転車を広げてメンテナンスができる、「趣味を支える場所」になります。あるいは「リモートワーク」をおこなえるスペースだったり、コロナ禍によって、おうち時間が増えた家族が思い思いに時間を過ごすことができる「決まりの無い空間」です。

OVERVIEW

ケーススタディ住宅 企画・開発レポート
01

今回のケーススタディ住宅の舞台は、広瀬川を望む「豊かな眺望に恵まれた築46年のマンション」です。清流と緑豊かな癒やしに囲まれつつ、仙台駅にもほど近い、仙台ならではの魅力ある自然と都市のコントラストを感じることのできる中古マンションのひとつではないでしょうか。
正方形が2つ重なるように配置された不思議な形状をした70平米の居室。この居室を多様性に開かれた”柔軟性のある住まい”を目指して、リノベーションの企画・開発に取り組みました。

より多様性を受け入れるための柔軟性を求めて、今回のケーススタディ住宅では、「室内廊下」を再編集することにしました。単なる通路としての室内廊下を無くし、土間空間に置き換えて、柔軟性のある住まいの実現を目指しました。この土間空間こそが、私達が考えた「無駄かもしれないスペース」の1つのカタチです。

コロナ禍によって、アウトドア系の趣味に注目が集まり、アウトドアグッズなどの収納やお手入れをするスペースを住空間の中に求められているように感じていました。一般的に面積が限られる中古マンションには、そのようなスペースはありません。土間空間は、屋内にありながら土足で歩け、アウトドアの趣味を支えることができる空間になると考えました。
それだけではなく、人によっては「リモートワーク」や「自転車のメンテナンス」を行えるスペースにもなり、コロナ禍によって、おうち時間が増えた家族が思い思いの時間を過ごすことができる「決まりの無い無駄な空間」スペースです。

住み手に使い方を委ねた「無駄かもしれない余白」を取り入れることで、画一的な住空間では到底叶わない”自分らしい暮らし方”を実現できるようになります。無駄かもしれない空間は、変幻自在で多目的スペースになり得るのです。言うまでもなく、住まい手の趣味を妨げるような住空間であってはなりません。
「無駄かもしれないスペースの充実」によって、住空間に柔軟性を持たせることで、ライフスタイルに変化があっても、きっと新しい使われ方で生活を支えてくれるでしょう。




リノベーション・オブ・ザ・イヤー2021でノミネート作品に選出されました。

築年月:1975年2月
構造:SRC一部RC
リノベーション面積:75.62㎡
施工期間:2.5ヶ月

 

企画:株式会社N’s Create.
設計デザイン:菊地悠介(株式会社N’s Create.)