海外のショップで買物しているかのような空間。 健康で安心な肉を食卓へお届けする畜産農家の直営店。
CREATIVE LAB事業部
なごみ農産 直営精肉店eat Meat – 精肉店デザイン
株式会社なごみ農産(山形県天童市)
山形県天童市にある畜産農家のなごみ農産が直営する精肉店。まるで海外のスーパーで買い物を楽しんでいるかのような空間が魅力の店内外は、元々コンビニだった建物を再利用したもの。無機質なモノクロの色合いに木目のアクセントを加え、地元に愛されるショップとして生まれ変わりました。
施工面積:164.73㎡
施工期間:2.5ヶ月
企画:ボブ田中
アートディレクション:株式会社アイケン
グラフィックデザイン:株式会社アイケン
設計デザイン:城浩太郎(株式会社N’s Create.)
施工監理:城浩太郎(株式会社N’s Create.)
株式会社なごみ農産
なごみ農産直営精肉店 eat M eat
〒994-0049山形県天童市南町2-14-23
http://eatmeat.nagominousan.jp/
可愛い牛がお出迎え。カフェのような精肉店
ホワイト×ブラックでコーディネートされたガラス張りのスタイリッシュな外観。カフェかと思って目をこらしてみると、店内に見えるのは上質な牛肉たち。ここは、宮城県・山形県で収穫された国産100%の飼料で育てた牛を取り扱う精肉店“eat Meat (イートミート)”です。
先代から農産業を受け継ぎ、さまざまなチャレンジによって事業を拡大させてきた、株式会社なごみ農産様の「思いのデザイン」をご紹介します。
- Question01なぜ今の事業をはじめたのですか?開く
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「父親の代から牛を扱っていて、私が二代目として引き継ぎました。そこから少しずつ牛を増やして行って今に至ります。」というオーナー様は、肥育頭数800頭、繁殖頭数300頭の牛を扱う農産をメイン事業にしています。 オーナー様が経営するなごみ農産様には「国産の餌だけで黒毛和牛を育てる」という特徴があり、その飼育技術は特許も取得しています。難しいといわれる国産飼料だけでの牛の飼育を実現できた理由は「天童という地形にある」のだとか。 「天童からは、庄内に行くにも仙台に行くにも同じ距離で、宮城県や山形県から原料を入手できる。それを加工して牛に食べさせることができるのはうちにしかできないことかなと。」 “食育”が注目を集める中、自分たちが口にするものはもちろん、子どもに食べさせるものも安心で安全なものを選びたいという人は少なくありません。なごみ農産様は「安全でおいしいものを提供する」ために、牛が食べるものにもこだわっています。
- Question02お店のことを教えてください。開く
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「特徴ある育て方をしても、みんなと同じような売り方してしまえば、こだわりや努力が表に残らない。PRをするためにも自分で売るしかない。」と思ったことをきっかけに、精肉店“eat Meat”をオープンさせたそう。 「直営店をつくると決めたとき、“きれいで人から覚えられる店”にすることを意識した。」というオーナー様。お店の外観から、カフェと勘違いして入ってきたお客様もいるのだとか。 多くのお客様をトリコにするなごみ農産様。国産飼料を食べさせていることで牛肉の味にも特徴があるそうです。 「うちの牛の餌は、半分近くが米。牧草もたくさん食べさせますが、ビタミンを摂取させて健康的に育てることを心がけています。そのため脂があっさりしていてサシが入りづらい。臭みというか嫌味というか、そういうものがなくなるんです。」 “国産飼料で育てた牛”というだけでも興味を惹かれますが、脂身があっさりしているお肉なら、お腹とお財布が許す限りいくらでも食べられそうですね。 また、印象的な店舗デザインにすることでたくさんの人に店舗や農園を認知してもらい、「体験農場として人が遊びに来てくれる場所にしたい」というビジョンも持っているそうです。
- Question03今回のプロジェクトが始まったきっかけを教えてください。開く
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「こだわりをもって育てている牛を広く認知して欲しい」と考えたことをきっかけにスタートした店舗計画。オーナー様にとって1店舗目となる直営店は、失敗したくないという思いも強かったようです。 「お店をつくろうと思ったとき、まず思い浮かんだのが工芸大の先生でした。“店舗をつくってほしい”といったら“一人じゃできない”といわれて。他に複数の先生を紹介してもらい、チームを組んでもらって店舗が実現しました。」 しかし、実際にプロジェクトが動き出すまでには時間がありました。 「ここができる数年前からいろんな場所を見て計画を立てましたがなかなかうまくいかない。そんなとき急にこの場所が出てきて。“補助事業だとか言っていられない、今すぐやらなきゃ”と火がついた」そうです。
- Question04N's Create. に依頼したいきっかけと、依頼した結果どうでしたか?開く
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「工芸大の先生に相談してプロジェクトを組んでもらった」ことで結ばれた、オーナー様とN’s Create.とのご縁。縁結びをしてくれた、工芸大の先生にもお話を伺いました。 「お店の方向性やディレクション的な部分でどうしたらいいのかを考えることは得意でも、自分たちは“お店の内装設計のプロ”ではない。その部分を任せられる人を探していたときに、“大学の同級生で面白い設計をしている人がいる”と思い浮かんだのがN’s Create.さんでした」 “日本にないような精肉店にしたい”という希望から、海外っぽい、親しみやすい店をイメージしながら完成させた店舗。オープン直後から売上も上がっているそうで、オーナー様含め、このプロジェクトに携わった全員が満足する仕上がりになりました。
- Question05プロジェクトで苦労した点 ・ こだわったポイントなど教えてください。開く
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「店名にしろロゴにしろ、最初は簡単にできると思っていた」というオーナー様ですが、実際は「工芸大の先生たから“選択肢は多いほど良いものができる”といわれ、いろいろな提案を受けた」そうで、プロジェクトの途中には苦労もありました。 しかし、「デザインを提案してもらう際、どんな思いでつくったのかをしっかり聞き、自分の頭で判断する」ことを心がけた結果、完成した店舗に対し「もう、大納得」と顔をほころばせていました。
- Question06今後どんなことを考えていますか?開く
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「ネットショップだとお店と違って経費がかからない。そのためある程度値段を下げられます。コロナの影響もあって自宅で食事をする機会が増えた人たちに届けるため、ネットのほうにも力を入れていきたいと思っています。」 と、状況に応じて臨機応変に展開されるオーナー様ですが、農園に対しては「気づいたら、周りの農地が荒れ放題になっていたんです。でも、うちはここから逃げてはいけないなと思っています。」という強い決意をもっています。 「店舗だったらどこでも移転できるけれど、農園はそうはいかない。今ある場所と付き合っていくしかないなら、“みんなが寄ってくるような場所をつくるしかないな”と。開墾して加工場も作り、体験農場を始めて、人を集める。お肉の加工だけじゃなく、さまざまな展開をしていきたいなと思っています。」
- Question07最後に何かメッセージあればコメントをください。開く
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「小麦のふすまや大豆などの飼料を育てる農家さん、それを加工してくれる企業、そういう人たちがひとつになって牛の餌をつくっている。たくさんの人の手をかけた餌で育った牛は他にはありません。みんなの思いの詰まった牛肉をたくさんの人に食べてほしいと思っています。」 食べることは生きること。美味しいものを楽しく食べるためにも、未来の自分の体のためにも、いいものを選び感謝をしながらいただいていきたいですね。 外出する機会が減りつつある今ですが、国産飼料100%で育った美味しい牛肉を、ネットショップで早速入手したいと思います!